ライブ・コンサートの定番『パーライト』
パーライト(PAR LIGHT)は、その出す光の特徴から、ライブやコンサートなどで、まっすぐな光の筋を見せる手段としてよく使われます。
パーライトの仕組み
パーライトは、筒状の形をしており、アルミニウム製のパラボラ状の反射鏡を用いて電球の光をそのまま反射することでまっすぐな光を出します。
フレネルや凸と呼ばれる灯体とは違い、反射鏡と電球が一体になっていると考えて大丈夫です。
PARライトのPARは、Parabolic Aluminized Reflectorの略でこの電球そのものを指しますが、これを用いた灯体を総じてパーライトと呼んでよいでしょう。
最近はあまり見なくなったパラボナアンテナを思い出してもらえるとわかると思いますが、パラボナの形状は、反射した光をまっすぐ出すような構造になっています。
パーライトの分類
電球の大きさ
PAR64 PAR56 PAR46 PAR36などPARの後に、数字をつける分類の仕方をよく見かけます。
これは、電球の寸法を表しており、
(後ろについている数字)×1/8= (電球の直径 インチ) ※単位はインチ になります。
1インチはおおよそ2.54cmですので、
(後ろについている数字)×1/8×2.54=(電球の直径 cm)
例えば、PAR64であれば
64×1/8=8インチ
64×1/8×2.54=20.32 となり、約20.3cmであることがわかります。
舞台でよく使われる灯体の直径をまとめたのがこちらです。
直径(インチ) | 直径(㎝) | おおよその電力 | |
PAR36 | 4.5インチ | 11.4 cm | 〜500W |
PAR56 | 7インチ | 17.8 cm | 〜500W |
PAR64 | 8インチ | 20.3 cm | 〜1000W |
この電球の直径でおおよその電力も決まりますが、PARライトは同じPAR64でも電力の幅が大きく、見た目だけでは確認できないため注意が必要です。
電球の種類
パーライトは、電球の種類でも分けられます。
パーライト電球の表面はガラス状で、網目のような構造をしています。この網目の細やかさで、光の拡散の仕方が変わってきます。
また、このPARライトの電球の種類により、VN,N,M,Wなどの記号が用いられ、主に用いられるのがこの4種類になります。
これらは次のような表にまとめられます。
網目 | 記号 | 名称 | 広がり方 |
細かい | VN | ベリーナロー | 超狭角 |
↑ | N | ナロー | 狭角 |
↓ | M | ミディアム | 中角 |
粗い | W | ワイド | 広角 |
筒の形状
パーライトの電球を囲む筒は、いわばただの入れ物のようなものですが、その長さによって光の広がり方が変わります。
長い筒のロングパーでは、広がり方が比較的狭くスポット(局所)的な光を出すことができます。
逆に短い筒の形状のショートパーは広がり方が比較的広い光を出すことができます。
パーライトの実際の使い方
光の形状
さきほども述べたように、光はまっすぐとのびていきます。
そしてさらに光の当たる部分は、だいたい楕円のような形でぼんやりしています。
そこでパーライトの使われ方として
・光の筋を見せる(スモークなどを使ったり、ホリゾント幕などにあてると綺麗にうつる)
・まっすぐな光であることを利用してSS(ステージサイドスポット)として使う。
注意点
・パーライトは、フレネルスポットや凸スポットなどと違い、しぼりがありません。
・光が楕円形になることから、電球の向きによって、光の形が異なります。縦横どちらの向きにするのか注意が必要でしょう。