OMS戯曲賞は、関西の演劇界を支え続けている注目の戯曲賞です。1994年の第1回から30年以上にわたって続いており、関西発の名作劇作家を数多く輩出してきました。
この記事では、OMS戯曲賞の概要・審査基準・賞金・歴代受賞者(第1回〜第30回)まで網羅的に紹介していきます。
OMS戯曲賞の概要
OMS戯曲賞は、関西の大阪ガスが主催し、Daigasグループ社会貢献活動の一環として運営される戯曲賞です。1985年に大阪ガスが開設した複合文化施設「扇町ミュージアムスクエア(OMS)」の10周年記念事業として、1994年に創設されました。
若手発掘とともに、それなりに活躍している劇作家も審査対象になることから、演劇界の全体的な推進力になっています。
本戯曲賞は、関西2府4県で次代を担う新しい劇作家を発掘するだけでなく既に評価を得ている劇作家にも活躍の場を与えることを目指しており、関西における演劇・戯曲創作を支援する関西発信の戯曲賞として全国的にも注目を集めています。
大阪ガス公式サイトより引用
OMS戯曲賞の審査対象
- 関西2府4県(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山)に在住、または関西を主たる活躍の場とする劇作家
- 新作書き下ろしで、募集前年の1月から12月までに初演がなされた作品
- 旧作品の改訂版や同年度に他の戯曲賞に応募された作品を除く
募集期間・入選発表日
- 募集期間: 毎年2月20日から4月10日まで(当日消印有効)
- 入選発表日: 11月中旬~12月中旬(予定)
OMS戯曲賞の賞金
- 大賞: 30万円
- 佳作: 10万円
OMS戯曲賞の審査員
OMS戯曲賞の審査員は、現役で活躍する劇作家・演出家から構成されており、過去には次のような方々が務めてきました(最新の審査員構成は公式サイトでご確認ください)。
佐藤 信(劇作家・演出家)
寺山修司さん、鈴木忠志さん、唐十郎さんとともに、『アングラ四天王』と呼ばれた、いわゆる「黒テント」と呼ばれる旅公演を行っていた劇作家・演出家です。
1971年に『鼠小僧次郎吉』で第16回岸田國士戯曲賞を受賞しています。
鈴木 裕美(演出家)
日本女子大学在学中に劇団「自転車キンクリート」を結成。飯島早苗さんが脚本を書き、鈴木裕美さんが演出を担当していました。
演出に関してさまざまな賞を受賞しており、2010年度は第18回読売演劇大賞優秀演出家賞、第61回芸術選奨新人賞演劇部門を受賞しています。
佃 典彦(劇作家)
2006年に、抜け殻を脱ぐたびに10歳ずつ若返る父親という不条理な設定の舞台『ぬけがら』で第50回岸田國士戯曲賞を受賞。
名城大学OBらで「劇団B級遊撃隊」を結成。不条理でシニカルな世界観をつくる劇作家として知られています。
土田 英生(劇作家)
京都の劇団「MONO」の代表。1999年に『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞を受賞しました。
またテレビ台本の脚本なども書いており、2018年に放送された日本テレビの日曜ドラマ『崖っぷちホテル』は土田英生さんの作品です。
樋口 美友喜(劇作家)
「PlantM」を主宰する劇作家・演出家。1999年に『深流波~シンリュウハ~』で第7回OMS戯曲賞大賞を、2000年に『ひとよ一夜に18片』で第8回OMS戯曲賞大賞を、と2年連続でOMS戯曲賞大賞を受賞しています。
OMS戯曲賞 歴代受賞作品(第1回〜第30回)
OMS戯曲賞は1994年の第1回から2023年の第30回まで、30年にわたり継続して開催されています。歴代受賞作を一覧でまとめます。
| 回 | 年 | 大賞 | 大賞作品 | 佳作 | 佳作作品 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1994 | 松田正隆 | 坂の上の家 | 岩崎正裕 | レ・ボリューション |
| 2 | 1995 | 鈴江俊郎 | ともだちが来た | 松田正隆(特別賞) | 海と日傘 |
| 3 | 1996 | 内藤裕敬 | 夏休み | 蟷螂襲 | 嵐のとなりの寝椅子 |
| 4 | 1997 | 岩崎正裕 | ここからは遠い国 | 花田明子 | 鈴虫のこえ、宵のホタル |
| 5 | 1998 | 蟷螂襲 | 滝の茶屋のおじちゃん | 久野那美 | パノラマビールの夜 |
| 6 | 1999 | 土田英生 | その鉄塔に男たちはいるという | 中田あかね | YS |
| 7 | 2000 | 樋口美友喜 | 深流波 -シンリュウハ- | 酒井宏人 | ベジタブルキングダム |
| 8 | 2001 | 樋口美友喜 | ひとよ一夜に18片 | 山岡徳貴子 | 祭りの兆し |
| 9 | 2002 | サカイヒロト | mju::::zikal | 芳﨑洋子 | コンコン とんとん ポロンぽろん |
| 10 | 2003 | 山口茜 | 他人(初期化する場合) | 中村賢司 | てのひらのさかな |
| 11 | 2004 | ごまのはえ | 愛のテール | 大竹野正典 | 夜、ナク、鳥 |
| 12 | 2005 | 水沼健 | 壁ノ花団 | 司辻有香 | 愛と悪魔 |
| 13 | 2006 | 竹内佑 | 音速漂流歌劇団 | 大正まろん | 昼下がりのミツバチ |
| 14 | 2007 | 該当なし | – | 田辺剛 | 旅行者 |
| 15 | 2008 | サリngROCK | 愛情マニア | 棚瀬美幸 | ななし |
| 16 | 2009 | 大竹野正典 | 山の声 | 土橋淳志 | 裏山の犬にでも喰われろ! |
| 17 | 2010 | はしぐちしん | ムイカ | 山崎彬 | 嘘ツキ、号泣 |
| 18 | 2011 | 林慎一郎 | サブウェイ | 稲田真理 | 幸福論 |
| 19 | 2012 | 稲田真理 | 留鳥の根 | 土橋淳志 | 限定解除、今は何も語れない |
| 20 | 2013 | 中村賢司 | 追伸 | 肥田知浩 | はだしのこどもはにわとりだ |
| 21 | 2014 | 土橋淳志 | 或いは魂の止まり木 | 田中遊 | 夜の素 |
| 22 | 2015 | 高橋恵 | 誰故草(たれゆえそう) | くるみざわしん | ひなの砦 |
| 23 | 2016 | 福谷圭祐 | 悪い癖 | 橋本健司 | また夜が来る |
| 24 | 2017 | 山崎彬 | メロメロたち | 植松厚弘太郎 | 午前3時59分 |
| 25 | 2018 | くるみざわしん | 同郷同年 | 山本正典 | あ、カッコンの竹 |
| 26 | 2019 | 該当なし | – | 3作 | サッカバカナ ほか |
| 27 | 2020 | 山本正典 | セミの空の空 | ピンク地底人3号 | カンザキ |
| 28 | 2021 | 山本彩 | 花を摘む人 | 山村菜月 | その桃は血の味がする |
| 29 | 2022 | 山脇立嗣 | わたしのこえがきこえますか | 私道かぴ | いきてるみ |
| 30 | 2023 | 武田操美 | みえない | 坂本涼平 | さよならの食卓 |
OMS戯曲賞のここに注目!
30年の歴史を振り返ると、OMS戯曲賞には次のような特徴的なポイントがあります。
- 連覇する受賞者の存在: 樋口美友喜さんは第7回・第8回と2年連続で大賞を受賞しています。
- 受賞後に岸田國士戯曲賞へ: 松田正隆(第1回大賞)、土田英生(第6回大賞)、佃典彦(審査員)など、その後岸田國士戯曲賞を受賞する劇作家を多数輩出しています。
- 「該当なし」もあり: 第14回(2007)・第26回(2019)は大賞「該当なし」と厳格な選考が行われています。
- 関西発信の独自性: 関西2府4県を主たる活躍の場とする劇作家を対象とする、地域密着型のアワード設計。
まとめ
OMS戯曲賞は、関西の演劇界を30年にわたって支え続けてきた重要な戯曲賞です。歴代受賞者を見ると、現在第一線で活躍する劇作家・演出家を多数輩出していることが分かります。
関西在住で劇作家を目指す方はぜひ応募を、観劇好きの方は歴代受賞作のリーディング公演にも注目してみてください。
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※受賞作・審査員情報は2024年時点の公開情報を基にしています。最新の募集要項・審査員構成は大阪ガス公式サイトをご確認ください。

