演劇ワークショップや稽古の初日、参加者同士がお互いの名前を覚えていないとなかなか心理的な距離が縮まりません。
そんなときに役立つのが「名前を覚えるためのワークショップ・ゲーム」です。シンプルな仕掛けで、楽しく動きながら自然と名前を覚えられる定番ゲームをいくつか紹介します。
こんな場面で使えます
・演劇ワークショップの初日
・稽古開始時のアイスブレイク
・劇団の体験会・新人歓迎会
・ダンス・ミュージカルレッスンの導入
ゲーム1: ランダムウォーク
会場の中を歩き回り、出会った人と自己紹介を繰り返すゲームです。動きながらだと自然と緊張がほぐれ、椅子に座って自己紹介するよりも記憶に残りやすくなります。
注意点
- 偶数の人数でないと一人余ってしまうので、必ず偶数人で行うこと(奇数の場合は進行役も参加する)
- 足音や声で他のグループの邪魔にならないよう、ある程度広い空間で行うこと
- 始める前に「目を合わせる」ことに抵抗のある参加者がいないかを軽く確認
STEP1: 歩き回ってお辞儀して自己紹介
まず、第一段階として、ランダムで歩き回ります。椅子に座っての自己紹介は堅苦しくなるので動き回ります。
まず最初に進行役が説明します。
「スタートといったら歩き回ってください。ストップと言ったら止まります。ランダムに動き回ってもいいですし、一定の方向をぐるぐる回ってもいいし、ジグザグに歩いてもいいです。ただし、チェンジと言ったら今までの動きとは違う動きをしてください。」
スタートの合図で一斉に会場を回ります。誰かとすれ違うときは、目を合わせてお辞儀をします。ストップの合図で一斉に止まります。
ここで次のアナウンス。
「次に誰かと目が合ってお辞儀をしたら、二人で止まってください。」
目が合った二人で自己紹介。「名前+一言(好きな食べ物、最近観た舞台、苦手なジャンルなど)」を伝え合います。
STEP2: 歩き回って手を叩いて自己紹介
次は目を合わせたらお辞儀をするのではなく、手を叩きます。この時、二人で同時に手を叩くようにします。タイミングを合わせるのが意外と難しく、ペアの呼吸が少しずつ合っていく感覚が面白いポイントです。
今回も同様に、一定時間歩いたのちストップ。
「次に誰かと目が合って、手を叩いたら二人で止まってください。」
さっきと同じ人でも大丈夫です。止まったら自己紹介。すでに知った相手なら、もう一段深い質問(出身地・好きな役柄・尊敬する役者など)に踏み込んでみましょう。
このステップ1とステップ2を繰り返しながら自己紹介を続けて、いいところで終了します。
ゲーム2: サークルゲーム
ランダムウォークである程度顔を合わせたら、次は円になって名前を呼び合うゲームに移ります。
STEP1: 拍手のパス
参加者全員で円になります。最初の人がランダムに別の人に向けて手を叩きます。この時、向けられている人は、タイミングを合わせて叩きます(2人で同時に手を叩く形)。
次に、今向けられた人が別の人に向かって手を叩く。これをテンポよく行います。
アイコンタクトの練習にもなり、舞台上での共演者との「呼吸合わせ」につながる基礎稽古でもあります。
STEP2: 名前を呼んでパス
一定回数行ったら、次は手を叩く代わりに名前を呼びます。名前を呼ばれた側は手を叩きます。呼ぶ側は叩かなくていいです。
名前を呼ばれた側は手を叩いたあと、別の人の名前を呼ぶ。これをテンポよく行います。
STEP3: 条件を付け足してレベルアップ
慣れてきたら条件を追加して難易度を上げます。例えば次のようなバリエーションがあります。
- 呼ばれた人は手を叩いた後、必ず自分の左隣の人の名前を呼ぶ
- 名前を呼ぶときに、その人の好きな食べ物や趣味も付け加える(「太郎の好きな食べ物はカレー!」)
- テンポを少しずつ速くしていく
- 2つのボールを同時に回す(=同時に2人の名前が呼ばれる)
難しい条件になればなるほど場が盛り上がり、自然と笑いが起きます。緊張感と楽しさのバランスを取りながら、進行役が場を見て調整しましょう。
ゲーム3: 名前+動き(ネームジェスチャー)
記憶に残りやすさで言えば、このゲームが定番中の定番です。
全員で円になり、一人ずつ自分の名前と一緒に「自分の特徴的なポーズや動き」を一つ披露します。次の人は、前の人の名前と動きを繰り返してから、自分の名前と動きを追加します。
例:
- 1人目「太郎!(両手を広げる)」
- 2人目「太郎!(両手を広げる)、花子!(ジャンプする)」
- 3人目「太郎!(両手を広げる)、花子!(ジャンプする)、次郎!(片足立ち)」
一巡する頃には、名前と動きがセットになって自然と記憶に残ります。動きを伴うことで身体的な記憶として定着するのがポイント。
ゲーム4: 連想自己紹介
円になり、自分の名前と「名前の頭文字から始まる好きなもの」をセットで言うゲームです。
例:
- 「たろうの『た』は、たけのこの『た』!」
- 「はなこの『は』は、はちみつの『は』!」
2巡目は前の人の名前と連想語を全部繰り返すルールにすると、ネームジェスチャーと同様の積み上げゲームになります。
進行役へのアドバイス
- 失敗してもOKの空気をつくる: 名前を忘れても笑い合える雰囲気が一番大事
- 1ゲーム10〜15分: 長くなりすぎると集中力が切れる。複数のゲームを組み合わせる
- 場が温まる順番: ランダムウォーク → サークルゲーム → 名前+動き、と段階的に難易度を上げる
- 苦手な人への配慮: 身体接触や目を合わせるのが苦手な参加者には、フリーパスのルールを用意
まとめ
名前を覚えるためのワークショップ・ゲームは、単なる暗記法ではなく、参加者同士の心理的な壁を壊し、稽古や創作の土台となる関係性を築くための時間です。
特に演劇では、共演者の名前を覚え呼び合えることが、舞台上での信頼関係に直結します。今回紹介した4つのゲームを組み合わせて、ぜひワークショップや稽古の冒頭に取り入れてみてください。
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